認知症の症状の一つに「もの盗られ妄想」と言われるものがあります。
「財布や通帳が無くなった」と騒ぎ、身近にいる人に対して犯人扱いをします。
親身になってケアをしている人にとっては、「あなたが盗ったでしょ!」と言われることはとても辛いことです。このような場合にどう対応すればいいでしょうか。
こう対応すれば必ずうまくいくという方法はありません。ただ、一般的に言われることは、「私は盗っていません!」と真正面から否定することは、あまり効果がないということです。
お互いにけんか腰になってしまいますし、暴言が出てくる場合もあるようです。
「困りましたね。一緒に探しましょうか?」と一旦は受け入れて、一緒に探してみるというのはいかがでしょうか。認知症という病気は難しい病気です。こちらの対応によって穏やかになることがありますが、逆に暴力や暴言といった激しい症状になってしまうこともあります。介護する側が病気を理解し、認知症の方の世界を受け入れていくことが大切かと思います。
認知症の人と家族の会 新井 裕子